日本の伝統的な木組みの建築構法です。大工職人が手で刻み(手刻み)、「木」と「木」を組みあわせ、金物に頼らず、構造架構「木組み」そのもので家を建てるという伝統的なやり方です。
寺社仏閣といった木造建築に用いられ、木組みの見た目の美しさもさることながら、耐震強度・耐久性・メンテナンス性など優れた点がいくつもあります。しかし、現在 建築されている木造軸組み構法住宅のほとんどは在来構法であり、伝統構法は1%程度しかありません。
確認申請などに通常よりも時間がかかったり、建築工期そのものも少し長くなり、在来構法と比べて時間と手間がかかります。
「手刻み」とは、墨つけされた木材を、一本一本のこぎりや鉋やノミを使い加工していく手作業で加工していく昔からある大工仕事です。
プレカット(機械加工)ではできない複雑な加工が可能で、手刻みによる伝統的な仕口・継手は、梁や柱をしっかりとつなぎ合わせ、耐震力を高めます。
だから、のじま家では機械を必要最低限しか持っていません。
機械のよいところは、同じものをつくる、一定のものをつくるという点では優れていますが、それ以上はいらないです。
私たちの家づくりに使用する木は、木の種類や育った環境・手入れの仕方など、さまざまな要因によって一本一本、個性が違います。
建築材料になってからも木は生き続け、季節や湿度などの影響も受けます。
また、時が経つにつれて木が反ったり、ねじれたりすることも考え、丁寧に一本ずつ経験や知識をフル活用して、その木材に適した墨付けを行い、手で木を刻んでいきます。
仕口(しくち)
2つ以上の材を、ある角度に接合する手法
土台と柱のつなぎ目や、梁と桁のつなぎ目など、それぞれの材を組むときに使われます。
継手(つぎて)
材木の長さを増すため、材を継ぎ足すときに使われる手法
十分な長さの材木がないときに使われます。
※できる限り一本ものの長い材を使います。継手は補助的な役割を担います。
私たちが用いている伝統建築仕様の仕口です。
重ホゾ(じゅうほぞ)
込み栓(こみせん)
車知栓(しゃちせん)
鼻栓(はなせん)
金輪継ぎ(かなわつぎ)
雇い実継ぎ(やといさねつぎ)
渡り顎継ぎ(わたりあごつぎ)
台持ち継ぎ(だいもちつぎ)
「木組み」とは、家の骨組みづくりにおいて釘や金物などに頼らず、木自体に切り込みなどを施し、はめ合わせていくことで木と木をがっしり組み上げていく技術のことを言います。
日本古来より日本の大工職人たちによって受け継がれ、洗練されてきた伝統的な構法です。
木と木を組み合わせることで、木の持つ粘り強さやしなやかさを活かす技術なのです。
また、「木組み」の技術によって組み上げられた骨組みは整然として美しく、力強いものです。
デザイン的にもシンプルで、木という素材の魅力を活かすことの出来る構法です。
「石場建て」とは、柱の根元をアンカーボルトで緊結せず、束石の上に乗せる構法。束石構法とも呼ばれています。
普段は、建物そのものの重みで安定しています。地震の際、地面が揺れても、緊結していないため建物だけが滑るように揺れを吸収し、受けるダメージが少なくなります。
基礎に緊結している建物では、受けるダメージは さらに大きくなると考えられます。
日本の中世から近世にかけての社寺仏閣の建造物もほとんどこの石場建てになっており、幾多の地震、台風にも耐えてきた力強さがあります。
地震以外にも、「石場建て」は高床になるため建物の足元の通気性がよく、床下に湿気がこもらないです。
そして万が一、床下で何かが起きていたとしても、発見がしやすいですし、柱がそれぞれ独立基礎の上に乗っていますから、土台を敷いてある場合と違って「その柱の足元だけを直す」といったようなことも可能です。
この「メンテナンス性のよさ」が、「石場建て」の特長になります。日本の古民家が長寿命であることに大きく貢献していると思います。
「土壁」とは木小舞(きこまい)・竹小舞(たけこまい)と呼ばれる格子状の枠に土を塗り重ねた壁を「土壁」といいます。
日本古来からある土壁は材料すべてが自然からできており、夏は涼しく、冬は暖かいと言われ、呼吸する壁といわれています。
土壁の良いところはそれだけではありません。
一般的に言われている「蓄熱作用」や「調湿作用」に加えて「防火作用」、「防音作用」にも優れています。
また、漆喰などと同様に自然素材のため現代大きな問題とされている「環境にも優しい」ということも大きな特長があります。
ただ、土壁の施工は簡単ではなく、無数の木又は竹を組み合わせその上に4層から5層の土を上塗りしていきます。
土壁を塗ると土壁を乾かす時間が必要になってくるので施工期間は長くなってしまいます。また、振動や、伸縮によりクラックが入ることがありますが、水分を含ませ、練り直せば簡単に補修が可能です。